「ウチの業界は特殊だから」では何も進まない

企業向けに事例制作のセミナーをするとき、受講者から決まって受ける質問があります。
「弊社の顧客の大半は〇〇業界で、その業界では独特の考え方があり、弊社の製品も特殊な使われ方をしています。だから事例出演の依頼をしてもたいてい断られます。どうすればよいですか」

これはつまり、「ウチの業界は特殊なんだ。だからあなたが言っている一般論のノウハウは通用しない。別の方法を教えてくれ」ということです。この質問は、20代の若手担当者がすがるような目で質問してくることもあれば、年配の男性が「おまえにウチの業界の何がわかるんだ」と攻撃的な目つきと口調で聞いてくることもあります。
この質問に筆者はいつも「いい人がたまにいるから大丈夫です」と答えています。これはその場しのぎの回答ではなく、経験に根ざした本心からの回答です。

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まず課題までさかのぼる

時系列で質問する場合、最初は「昔のこと」から話を始めます。ではどのぐらい昔までさかのぼればいいでしょうか。BtoB事例では、「顧客が課題を感じ始めた時期」にさかのぼって話を始めるのが適切です。BtoB商品は課題を解決するために導入するものだからです。

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時系列、ウソをついたらすぐわかる

時系列の質問にいいかげんに答えるのは実は難しいことです。なぜなら適当な回答をすると、それが以前の発言とつじつまが合わなくなり、その矛盾のせいで答えた当人が何だか気持ち悪くなるからです。
人間には自分の発言を一貫させたい志向があります。そこを刺激すれば、自然に本当のこと、事実情報を話してくれます。

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会議室の白い壁を背景にして「保険の一枚」を

「保険の一枚」とは、誰がどう撮っても失敗しない、安全パイの一枚のことです。例えば、会議室の白い壁を背景にして撮影すれば、とりあえず水準ラインの事例写真が撮れます。
会議室の白い壁を背景にするなんて、何のクリエイティビティもない凡庸な発想に思えます。しかし撮ってみれば分かりますが、白い壁の背景は、案外に人を引き立たせます。事例写真は本質的に「人が主役」なので、人が目立つ背景は理にかなっています。また会議室の白い壁なら、どの会社でも確保できます。ざわついた受付と違い、会議室なら落ち着いて撮影に専念できます。ある程度の品質を確保でき、しかも失敗の確率が低い。まさに「保険の一枚」といえます。

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予習は常に善

取材先の企業情報のうち年商、社員数、設立年など、ホームページの会社案内の欄を見れば簡単にわかる情報は、質問して答えてもらうより、インタビュアーが事前に予習したことを取材の場で復唱・確認するほうが良いと思います。貴重なインタビュー時間を基礎情報の説明に費やすより、「基礎情報は事前にホームページで調べましたので…」と言って「設立は〇〇年、年商は〇〇円、従業員数は〇〇人、ですよね」とテキパキ進めたほうが時間の節約になります。復することは取材先に対し、「自分は予習をしてきました」とアピールする効果もあります。好感を持たれるには雑談や冗談より予習のほうが確実かつ有効です。

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堂々アピール、かえって好感

事例は結局のところ販促物であり、読者(見込み客)もそういうものだと思って読んでいます。そうである以上、悪い点も書いたほうがいいかも……などと腰の引けたことを言わず、自社製品の良い点を堂々とアピールしたほうが読み手から好感を持たれます。ここで大事なのは、事実に基づいてアピールすることです。事例は事実に基づいているから説得力があるのです。

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導入効果を的確に書くには-5

ここで気をつけるべきは、将来の成果を実現するのは「基盤」ではなく、「基盤の上で活動する人や企業」だということです。その意味では、「仮想サーバの導入により、経常利益が150%アップ」という表現は、論理が飛躍しすぎです。仮想サーバの導入でIT環境が改善されたのは本当だとしても、それを経常利益の増加という最終成果につなげたのは、ITを使いこなした社員の活動だからです。基盤とは、文字どおり「盤として下にあるもの」、黙って働く縁の下の力持ちであり主役ではありません。

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導入効果を的確に書くには-4

タイプ3「基盤の確立」
IT事例では「基盤」という言葉がよく使われます。例えば「仮想サーバの導入により業務基盤を整備」「ERPの導入により経営戦略遂行のための情報基盤を確立」「生産管理システムの導入で世代の生産高度化に向けた基盤を確立」のように言います。
基盤とは、基礎となる盤、つまり「土台」のことです。建築では、まず基盤(基礎、土台)を固め、その上に何らかの建築物を建てます鉄道網、道路網なども経済発展の基盤と表現されます。大昔には人が歩く街道しかなかった地域に輸送力の高い鉄道網、道路網を作ったことで、大量・高速にヒト・モノを行き来させることが可能になり、結果として経済が発展するわけです。つまり基盤を確立するとは、「将来の成果を実現するために前段階の基礎固めを行うこと」といえます。(つづく→)

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導入効果を的確に書くには-3

タイプ2「属人性の低減
属人性の低減とは「人に属する要素を減らすこと」、つまり、以前は特定の人だけできて、ほかの人にできなかったことが、ITツールの導入により誰でもできるようになった、ということです。
「効率化」も「属人性の低減」も、いずれも「IT導入以前でも一応何とかなっていた」というのが重要な前提です。効率が悪かっただけ、少数の人にしかできなかっただけで、別に不可能ではなかったのです。(つづく→)

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導入効果を的確に書くには-2

タイプ1「効率化・コスト削減」
効率化とは「一定の成果を上げるための資源投入量が減ること」と定義できます。簡単にいえば、「今までやっていたことが、より短時間、より少ない手間、より少ない人数でできるようになること」、さらにあっさりいえば「楽になる」ということです。
なお経営資源の中では「お金」が特に重視されているので、お金の効率化には「コスト削減」という特別な名前が付いています。つまり「今までやっていたことが、より少ないお金でできるようになる」、短くいえば「安くなる」ということです。
IT製品による効率化とは、「今までも一応できていたことが、IT製品の導入により今はもっと楽に、または安くできるようになった」と表現できます。(つづく→)

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