ことばの冤罪
「めくら打ち」、「めくら滅法」などの語を使った言葉は、不快に思う人がいるのでやめようという考え方がある。
こうした考え方の是非はとりあえず問わない。
だが、中には、まるっきりのいいがかりで差別用語扱いされている言葉もある。
たとえば、「片手落ち」がそう。
なぜこれがいいがかりかというと、「片手落ち」とは、「片・手落ち」のことであり、「片手・落ち」ではないからである。
「片○○」という語は、片思い、片手間、片意地、片仮名など、みんな「片・○○」である。
わたしの知る限り、「片」がつく漢字三文字の言葉で、「片手・○」のつくりになっているのは、片手桶(とってが一方だけにある桶)だけだ。
※ 片手桶の写真
片手落ちがダメなら、片手間もだめになってしまう。
不手際なんて、手がないからもっとだめだろう。
ところで、個人的に、これはやっても良いと思う言い換えは「障害者」を「障碍者」と言いかえること。
実はこれは言いかえではない。障害者の表記はもともと「障碍者」が正かった。しかし「碍」という字が常用漢字になかったので「害」に言いかえたのだ。言うに事欠いて「害」はイカンだろう。常用漢字表も罪なことをするものだ。