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JR東海のキャッシュフロー計算書を見ながら、「参入障壁のだいじさ」について考える

キャッシュフロー計算書の読み方を理解したいと考え、ただいま「決算書はここだけ読め!」を読んでいます。 その中で優良企業として紹介されているのがJR東海。 平成12年から平成16年まで五期連続でフリーキャッシュフローがプラス。 つまり、営業活動で稼いで、その稼いだ金を投資に回して、でもまだお金が残ったわけです。そして、そのお金でコツコツ借金を返し、かつては3兆円あった有利子負債を2兆円にまで減らしたとのこと。 JR東海は、あと25年後ぐらいにリニアモーターカーを【全額自己資金】で建設するので、今後、投資キャッシュフローは大きなマイナスが続くはずですが、どうも、この調子ですと、毎年、きちんと稼いで、きちんと借金を返しながら、リニアモーターカーも本当に自己資金で作ってしまいそうです。 この本の中で印象に残ったのは次の箇所でした。 ———————————————————— たとえば、<JR東海>には、強力な競争相手がいません。またJRは、北海道、東日本、東海、西日本、四国、九州とエリアごとに棲み分けができており、競争相手が東海道新幹線のシェアを奪い取る心配もありません。 広い意味では<JR東海>の事業も、航空会社や高速バスなどと競合しています。しかし、東京、名古屋、大阪の三大都市圏を結ぶルートでは、断然、東海道新幹線が高速バスを凌駕しています。東京から大阪までは、羽田空港から伊丹空港や関西国際空港まで飛行機でゆく便もありますが、利用者の大多数は新幹線を用います。ここは、ほぼ<JR東海>の独占市場なのです。 おそらく、<JR東海>の経営者は、航空会社や高速バスの会社に顧客を奪われるかもしれないという危機感を、それほどもってないと思われます。ですから、無理をする必要がないのです。あくまでも、自分のペースで会社経営を行えばいいのです。 ———————————————————— この本では、JR東海に対比させてある大手電機メーカーA社の例が載っていました。そのメーカーは、フリーキャッシュフローが三期連続でマイナス。原因は、三期で1兆1000億に及ぶ、とてつもなく巨額の設備投資でした。国内競合他社が1000億円程度であるのに対し、実に11倍です。そのせいで、借金は三期の間に9000億円から1兆8000億円に倍増していました。 なぜこのメーカーがそこまで無理をするのか、いくら先行投資といっても競合の11倍はやりすぎじゃないかと思えます。 その理由は、国内ではなく、海外にありました。この会社の主要事業の競合には、韓国のサムスンがいたのです。サムスンは同じ時期に実に2兆円に及ぶ設備投資を行っていました。A社の投資額は国内競合の11倍であっても、サムスンに比べれば半分に過ぎなかったのです。しかも、サムスンは圧倒的なシェアにモノをいわせ、同じ時期のフリーキャッシュフローは三期連続でプラスです。つまり、二兆円の設備投資が、借金なしに、本業の儲けだけでできてしまうわけです(余談ですが、リニアモーターカーの建設資金は五兆1000億円と試算されています。サムスンの投資額は、リニアモーターカーという超巨大プロジェクトの半分にも及ぶ巨大なものです) 二兆円もの巨大な設備投資が手元資金でできてしまうサムスンと、ガチで戦わなければならないA社… これはツライわ…、と思いました。 さて、大企業の競争に、ただ単にすげーなーと感嘆するだけでなく、そこから一つでも二つでも自社の経営に役立つ教訓を得たいものです。 あるコンサルタントが、「市場を選ぶときに皆、粗利率に注目するが、本当は参入障壁の方が重要だ。特にネットビジネスの場合はそうだ。いくら粗利率が高くても、競合がつぎつぎ参入するようでは、広告費がすぐに跳ね上がってしまうし、精神的にもキツクなる」といっていました。 さて、わたしが今いる、この「お客様事例の制作」という市場、別に儲かる業種ではありませんが、参入障壁はそれなりにあると思っています。 どういう参入障壁かというと、この事例制作の仕事というのは、やり方(オペレーション)を間違えると、ぜんぜん利益が出ない、めんどくさいだけの仕事になっちゃうのです(やってみれば分かります)。参入自体はそりゃ簡単ですよ。実際、事例制作をサービスメニューに加える会社は次々に出てきています。でも、そこに特化して盛り上がっていく競合が現れないところを見ると、おそらく、みんな「とりあえず始めてみたはいいけど、儲からないし、めんどくさいし、ぜんぜんおいしくないや、この仕事」と思って、やる気を無くしていっているのじゃないかと思います。 商品の良さを、それを買ったお客様に語ってもらう、お客様事例という手法は、やり方自体には「普遍性」があると考えます。30年後も、今と同じ姿のままで通用しうる手法だと私は期待しています。 でも、市場としてはニッチ中のニッチです。この「商品コンセプトは普遍的なのに、市場はニッチ」というのは、零細企業には住みよい場所です。村中は、この狭い市場、特殊な市場の中で、その特殊性に合う方向に、自社の仕組みやオペレーションを改善していくことに日夜、心を砕いています。 JR東海みたいに、競合を気にしなくてよい市場で、確実に着実に前進するのがいいです。それこそ零細企業の生きる道です。

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