※ カスタマワイズ 企業公式サイト:クリック
※ 事例制作サービス案内(価格表):クリック
※ お問い合わせ:クリック

「少しぐらい理屈がおかしくても、インパクトがあっておもしろければいいんだ」というのは本当か?

 村中が事例制作者の原稿をチェックするときに、「その文章は論理的に筋が通っているか」ということを入念にチェックします。
これは制作者にあきれられることもあります。
「事例というのは、お客様の声なのだから、論文じゃないのだから、論理的整合性よりも、気持ちに訴えるインパクトの方が大事だと思う」
といわれることもあります。
しかし、読者に抵抗なくすらすらスムーズに読んでもらうためには、論理的整合性の確保はとても重要です。つじつまがあっていない箇所があると、何となく引っかかるからです。
ここで、海外ミステリーのある翻訳をご覧ください。
—————————————————————
(英文)
Relieved to find the alley empty, save of dented dustbins, cat-gnawed refuse sacks and sicked-up Chinese takeaways, I headed down it.
(初訳)
路地では傷だらけのゴミ缶や、猫のかじったゴミ袋や、持ち帰りの中華料理の吐瀉物が目についたが、人影はまったくないため、わたしは安心して奥へと進んだ。
—————————————————————
翻訳者が提出した、この訳に対し、編集部から「文章がおかしい」とチェック(クレーム)が入ったそうです(※ いわゆる誤訳ではありません)。
何がおかしいのか、村中も考えましたがわかりませんでした。それから答を知って、村中は「エンターテイメント小説の翻訳でここまで厳密に考えるのか…」と絶句しました。
では、上記の文章は何がおかしいのか、少し考えてみてください。
   ↓
   ↓
   ↓
   ↓
編集者が指摘したのは、「持ち帰りの中華料理の吐瀉物」という箇所で、その指摘内容は…
   ↓
   ↓
   ↓
   ↓
   ↓
   ↓
   ↓
「なぜそんなことがわかるのか?」でした。
この描写は、荒れ果てた街路を歩いている主人公の視点で書かれていますが、吐瀉物だけ見て、それが中華料理であり、しかも持ち帰りであることまで見抜けるのは不自然だというわけです。結局、訳は「中華料理とおぼしき吐瀉物」で落ち着いたそうです。
これはミステリー小説の翻訳であり、論文ではありません。究極的にいえば、「おもしろければそれでいい」というエンターティメントです。しかし、その読者にとってのおもしろさを担保するために、裏舞台では作り手がここまで厳密に考えています。
事例制作という売文業(文を売ってお金をもらう仕事)においても、同様に、厳密に考えなければいけないのは当然のことです。
「少しぐらい理屈がおかしくても、インパクトがあっておもしろければいいんだ」というのは、才能に満ちた、一部の人だけの話です。決して私たち普通人が口にしてよいセリフではありません。
※ 英文出典

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>