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怒りと咆吼のラブソング

音楽は、小学校の頃にザ・ベストテンなど見ながら、渡辺真知子のLPをはじめて買い、中学校からはロックファンでロック一筋になり、レッドツェッペリンやルーリードやドアーズやスロビンググリッスルなど良く聞いていましたが、この年になると、音楽で何かのジャンル一筋に聞き込むということはなくなり、何でも大好きになりました。


そして、最近は、自分はどうも女性ボーカルの歌い上げるタイプとか音圧が強いタイプがけっこう好きらしいということがわかってきました。渡辺真知子の「ブルー」、「かもめが翔んだ日」とか大橋純子の「たそがれマイラブ」とか。


しかし、広瀬香美とか、八神純子の水色の雨とかドリカムとかの、「ほぉら、わたし声が出るでしょぉ」というような歌唱は少々苦手です。みずいろの雨なら、八神純子より、森昌子のカバーの方が好きです。悠然としていて。





女性のパワー唱法はいいですね。外国だとポインターシスターズとか(1:40 のあたりから、とんでもないことになります)


 


そして最近、遅ればせながら魅了されているのがレベッカです(三日前からファンになりました)。

村中は何かのファンになると、自分はそれの何をいいと思っているのか、文章を書きながら考えたくなるクセがあります。すみません、それでは書いてみることにします。


レベッカは、NOKKOさんを中心にしたロックバンドで、80年代後半、バブルの頃に一世を風靡しました。村中はリアルタイムで経験しているはずなのですが、当時はその良さに気がつけませんでした。


いやあ、あらためて聞くとNOKKOさん、すごいですね。ものすごい歌唱力と音圧とパワーですね。こんなすごい歌い手だとは当時、気づいていませんでした。


NOKKOさんの歌唱の魅力については、ネット上で多くの人が絶賛していますが、その中で、おお、これは鋭いと思ったのが、こちらのブログです。http://www.satonao.com/cd/j_pops/rebecca.html

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ユーミンなんかのほうが、もちろん、完成度は高い。

阿木燿子はビジネスとして素晴しい出来。
NOKKOに一番近いタイプはドリカムの吉田美和かもしれません。


でも「育ちが違う」んですね。


吉田美和のほうが育ちがいい。NOKKOは育ちが悪い(あくまで作詞の印象のはなし)。裏道でお腹をすかせている感じがあるんです、NOKKOには。

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なるほど、確かにNOKKOさんほど、「いつもお腹をすかせた野良猫」のようなティーンエージャーの焦燥感を感じさせる人はいません(実際のNOKKOさんは、10歳の頃からクラシックバレエを習うなどしており、決して実際の育ちは悪くないようですが)


では、この方の卓見を参考にして、村中の感想を述べてみますと、


NOKKOさんの歌詞の魅力が「お腹をすかせた感じ」なら、
その歌唱の魅力は、「怒り」ではないかと。


この人の歌は、どんなにかわいらしい歌詞を歌うときでも、どこかに「怒り」を感じます。レコードでは、一般に受け入れられるよう洗練されていますが、ライブになると、怒りがあらわになります。というわけで、レベッカはライブの方がよく、村中は基本、ライブばかり聞いています。


NOKKOの魅力は「怒り」だと感じたのは、レベッカの曲の中でいちばん好きなこの「真夏の雨」のライブを聞いたときです。


この歌は、真夏の雨が8月の熱いアスファルトにたたきつける青春の情景を歌ったスローバラードですが、中盤から後半にかけては、歌唱というよりはむしろ咆吼。それでいて、繊細さは失わず、むしろせつなさが増していきます。音が出せる環境の人は聞いてみてください。これ、ちょっと、すごいですよ。




村中はこの歌を、特にレコードよりもライブの方をとても魅力的に思うのですが、ではその魅力の根源、この歌にあって他の女性歌手の歌にないものは何だろうと考えたとき、それは「怒り」ではないかと思いました。



この「怒り」は、松任谷由実にも吉田美和にも、他のどの歌手にも感じることができず、この時期のNOKKOだけの唯一無二のものだったと思います。

こちらヒット曲、LONELY BUTTERFLYはイントロも歌詞もかわいらしい歌ですが、当のNOKKOは、いったいなぜそこまでというぐらい、武道館の大観衆の前で、怒りまくっています。小さい恐竜のようだ。




こちら大ヒットシングルの「フレンズ」もライブの方がずっといいです。


こちらの野外ライブとかすごいですね。歌っている5分の間じゅうバズーカ砲をブッ放しつづけているかのようです。


レベッカに関心を持たないで聞くと、レコードはキンキン歌っているだけ、ライブはギャーギャーわめいているだけで、ちっとも歌が上手そうに聞こえないかもしれませんが、いやあ、こんなのNOKKO以外に絶対歌えないって。


ラブソングの歌唱に「怒り」の要素をいれることで、魅力的な世界を作り上げたのは、NOKKOさんだけのように思います。


怒りを歌で表現するのはむずかしい。怒っている人はたいてい唄が上手くないからです。声に余裕がなく、かすれて、絶叫してしまう。怒りというより、かわいそうに見えてきます。


また
いかにも恐ろしげな声は、そもそも聞き手に「怒り」を感じさせません。たとえばヘビィメタルで、男のダミ声で絶叫する「デスボイス」というのがありますが、あれは威嚇ではあっても、怒りは感じない。むしろギャグ。あれよりは、レベッカの「真夏の雨」の方が怒りを感じます。

暴力的な音楽というのはあります。しかし、暴力と怒りは少し違う気がする。



ところでさっきから怒り、怒りと書いていますが、いったい何に対する怒りなんでしょうか。


そのように問うならば、答えはやはり、「愛されたい怒り」、「何かを求める怒り」ということになるでしょうか。そうでないとラブソングに乗らないですし。


ただ「愛されたい怒り」などと書くと何だか高貴ですが、それは要するに「なんでなのよぉぉ」というあの気持ちのことです。これは凡人にも身に覚えのある感情ですが、しかし、それを「表現」に高められるのが、すごい歌手の力、歌唱力です。


怒りは表現方法を間違うと、とても見苦しく、聞いていて不愉快になります。怒りを美しく表現するには、膨大なテクニックが必要です。自分の感情をぶちまけても、歌が乱れない声の基礎体力が必要になる。


もちろんテクニックだけではだめで、歌い手の心の中に、わき上がる本当の怒りが必要です。しかし、怒りは、一生のうちでそれが持てる時期が10代から20代前半に限られている希少なものです。

そうした持つことも表現することも難しい感情を、すごい歌唱力と迫力で実現し、音源や映像を残してくれた歌手はNOKKO以外に思いつきません。ありがとうです。


身長150センチの細くて小さな女の子が、精一杯の背伸びをしながら、自分ではどうにもならない怒りを抱えて、それをすさまじい音量と音圧に乗せて、ラブソングの形で、大観衆の前で歌い上げている光景はとても魅力的に思えるのです。


そのNOKKOさんも今は50歳。ダンナさん、娘さんと一緒に、伊豆半島で田舎暮らしをし、すばらしい人生を送っているそうです。なるほどです。このような高純度の怒りを一生、持ち続け、表現するのは、とうぜん無理なわけですし。

本当に良い時に歌手になってくれて、いい映像やいい音源をたくさん残してくれたものです。天才が自分の才能を正しく使ってくれました。その意味では、NOKKOさんの才能を120%引き出してくれた作曲者の土橋さんにも感謝です。

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※ NOKKOがいかに他を圧倒する歌唱力の持ち主であったかは、こちらのブログで音楽の専門知識を持つ人が詳しく分かりやすい解説をしています。ご覧ください。
http://music-milk-tea.blog.so-net.ne.jp/2007-10-28?comment_success=2013-11-10T11:53:31&time=1384052011

怒りと咆吼のラブソング” への1件のコメント

  1. nokkoは素晴らしいですね。圧倒されます。https://www.youtube.com/watch?v=sIK_MJYL_YU&list=PL2QGf5Qk87V9ank0tmdPGSpVwC9eKDqev

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