民間警備保障会社を例に考えてみます。民権警備サービスとは、そこと契約しておけば、自宅に泥棒が入ろうとしたとき駆けつけてくれるサービスです。
「○○してますか」のCMでお馴染みのA社と、女性レスリング金メダル選手が所属するB社が2大大手です。
ではこの民間警備サービスの導入事例を作るとして、導入効果の数値表現は可能でしょうか。「A社と警備契約してから、泥棒の侵入が46%減少しました」とか? 何かヘンですよね。また冷静に考えると、46%減少ということは、以前50件だったのが27件になったということですが、それだと今でも泥棒が20件以上、侵入していることになります。それって導入して効果があったといえるのか?
数値表現が無理なら心情表現にする? お客様の笑顔写真の上に「B社の警備保障に入って、大きな安心が手に入りました」を載せるとか?でもそれって読者(見込み客)にアピールするのでしょうか。「あ、そう」と思われるだけなのでは。
このコピーがなぜ見込み客にアピールしないかというと、そこに「自分が知りたいこと」が書いてある気配がしないからです。
見込み客(事例の読者)が、警備保障会社を検討するとき知りたいことは、「A社とB社、どっちも有名だけど、実際にはどっちが良いの?」、「そもそも警備保障サービスってホントに入った方がいいわけ?(できれば入りたくないんですが)」ということだと村中は思います。
この疑問に対しては「比較条件」、「導入の必要性(または、導入しないことのリスク)」を伝える必要があります。
「比較条件」の場合は、A社とB社を比較検討して、最終的にA社(あるいはB社)を選んだ顧客に、「どういう基準で比較したのですか」と聞いてそれを書きます。
「導入の必要性」の場合は、「警備保障サービスなど契約しなくて良いという考え方もありますし、実際、多くの人が契約していません。しかし、なぜあなたは契約したのでしょうか」という趣旨の質問を取材先にして、その回答を書くことになります。
顧客事例は、購買意志決定のための実用読み物ですから、そこには必ず「役立つ情報」が書かれていなければいけません。
「大きな安心が手に入りました」というコピーが良くないのは、そこに「新情報」が全くないからです。
情報がある文章とは何か、それは読む前と、読む後で、読者の認識が変わる文章のことです。この読む前と後との認識の差のことを「情報量」といいます。
言い換えると、いくら色々な話が盛り込まれていても、読む前と後とで認識が変わらないのなら、それは「情報」がある文章とはいえません。
見込み客(読者)の役に立つ事例とは、「情報」が書かれている事例です。