「もっとインパクトのあるコンテンツを…」、「これじゃあインパクトないね」などなど、「インパクト」という言葉は販促制作の場で頻繁に使われます。
しかし村中は事例制作の構想をするときにインパクトという言葉はいっさい使いません。
理由は次の3点です。
*** 理由1:インパクトとは「評価」の言葉であって、「企画・制作」の言葉ではない。
「もっとインパクトのあるコンテンツを…」、「これじゃあインパクトないね」という言葉から分かるように、「インパクト」という言葉は「上から目線の評価」の場で使うのがしっくりきます。村中は事例制作者、「つくる方のひと」なので、このような評価用の語彙を使ってものを考えてもしょうがありません。
インパクトは審査員のための言葉です。あなたが審査する側ならこの言葉を使ってかまいません。しかし、あなたが審査される側、何かを作って提出する側なら、インパクトという言葉は百害あって一利なしです。
*** 理由2:インパクトという言葉は「ひびき」だけがあり、「実体」がない。
インパクトという言葉がこれだけもてはやされるのは、「ひびきの良さ」のおかげだと思います。インと来て、ぐっと詰まって、ンパッと爆発して、クトッとまた締まる。威勢がよくてしかも引き締まっている、いい響きですね。発音していると、なんだか立派なことを言っているような錯覚におちいります。
でもそもそも「インパクトがある」ってどういう状態なんでしょう。見た瞬間、「すっげー!」と思うようなものなんでしょうか。じゃあ、どんなのなら「すっげー」と思えるのでしょうか…、結局、答は出ません。
インパクト(衝撃的)というのは、「程度」のみを表しており「方向」は示していません。だからこの言葉を使っても自分の行くべき方向は見えないのです。
それはちょうど「なんかデッカいことしたいんだよぉ」と100回唱えても、では具体的に何を始めるのか方向は見えてこないことに似ています。
*** 理由3:「インパクト」という単語を使って良いのは比較のときだけ。
「これとこれ、どっちがインパクトあると思う?」というのはOKだと思います。「えーと、こっち。こっちの方が何かグッと来る」のように、具体的な進展があるからです。しかし何ら具体的手がかりがない状態で「インパクトを出すにはどうすれば?」と発想しても、ハマるばかりです。
インパクトという言葉は、その響きの良さとはうらはらに、行動や発想を阻害する有害な単語です。というわけで、村中はこの言葉は自分の思考から排除するようにしているのです。(これは「自分の発想の中では」…ということなので、商談やセミナーのときには便宜上、使うことはあります。とりあえず響きが良くて通りの良い言葉であることは事実ですから)