前回は、法人向けの商品、サービスの顧客メリットは、ひとことでいえば「利益増」、細分化していえば「売上げ増」「コスト減」「リスク軽減」のどれかに該当するといいました。
では個人向け(BtoC)商品の場合は、どうなるでしょうか。企業の目的が「利益増」なら、個人の目的は「幸福増」となるでしょう。
したがってBtoC商品の顧客メリットは、ひとことでいえば、「幸福の増大」です。
(※ 実をいうと、「生存」という上位目的がありえますが、それはここでは考えないことにします。「生存」をベネフィットとする商品は、電気、ガス、水道、食物などが該当します)。
では「幸福の増大」を3分割するとどうなるか。筆者は「プラスの増大」「マイナスの軽減」「将来のマイナスの予防」の3点だと考えます。
まず「プラスの増大」。これは「うれしー、たのしー、ハッピー」が増える話です。音楽CDとか、映画とか、レストランとか、イベントとかがこれにあたりあす。
次に「マイナスの軽減」、これは「このままじゃイヤだ」「できない自分を何とかしたい」「何とか人並みになりたい」という感情にフォーカスする商品のことです。「やせたい」「英語ができない」「お金がもうけたい」「みんなに認められたい」などを満たす商品は、この「マイナスの軽減」「不幸の減少」に該当すると考えます。「キレイになりたい」「モテたい」は、一見、「プラスの増大」に見えますが、結局は「このままじゃマズい」「今の自分に満足できない」という否定形の描写が似合う感情なので、やはりマイナスの軽減に該当すると思います。
最後に「マイナスの予防」。これは将来起こりうる不幸を予防するための商品、サービスです。単純には「防災用品」などがここです。また「保険」「投資」など金融系商品の多くはここに該当します。
この3つの中で最も市場規模が大きいモノは何か? 実は「マイナスの軽減」ではないかと考えます。
ここでのマイナスとは何か? 実は、これは「自分は他人より劣っている(ように思える)」という意味です。そのマイナスを取り返したいと願うのは、実は万人にとって大きなモチベーションとなります。