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“熱い”パンフレットと“冷たい”ユーザー事例、二つの媒体の本質的違いを知る

以下、日経BP ITPRO MARKETINGの連載、「事例こそ最強のBtoBマーケティングである」の転載です。

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 筆者はユーザー事例の制作会社を経営しています。あるとき営業コンサルティングのA社から、自社の顧客であるB社に取材して、事例を制作してほしいという依頼が来ました。

 これを受け、弊社の制作スタッフはB社の営業本部長に取材し「A社のコンサルティングを受けた理由は?その効果は?」という取材をして文章をまとめました。ところがA社から、クレームが来てしまいました。

 クレーム内容は「我が社は今、単なる営業支援を脱皮し、総合的な経営コンサルティング企業に生まれ変わろうとしている。なのにこの事例には営業コンサルティングのことしか書いていないではないか!」というものでした。

 筆者は正直、これは無理筋のクレームだと思いました。A社が【これから】経営コンサルティングを強化するというのは分かります。しかし、A社がB社に【これまで】提供していたのは営業コンサルティングであり、その事例を取材すれば『営業コンサルティングの事例』が出来上がるのは当然のこと。そう、トマトの種をまいたらトマトが生えてきたというのと同じぐらい当たり前です。

 このときは文章中の『営業コンサルティング』という言葉を『経営コンサルティング』に一括変換するほか、「営業コンサルティングをした」と思わせる事実やエピソードは削除して、それを抽象的な感想、キレイな理屈に置き換えることを求められました。

 A社の例は極端ですが、同じような要望を受けることはよくあります。こうした要望が出るとき、その背景には…

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つづきはこちら

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atclact/active/15/111100134/070500014/

情報を引き出すためのもう一つの質問術、「軽く決めつける」

以下、日経BP ITPRO MARKETINGの連載、「事例こそ最強のBtoBマーケティングである」の転載です。

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「そんなの決めつけだ」
「勝手に決めつけないでください」

 これらは強い不快を表す言葉です。


 人は他人に決めつけられることを非常に嫌い、それには強く反発します。

 「軽く決めつける」という質問法はこの反発心を逆利用するものです。もちろん「軽く」というところがポイントで、強く決めつけたのでは反感を買って終わりです。

 ではどうやれば「軽く」決めつけることができるのでしょうか。それには「復唱・確認」という手法を使います。

 具体的には、事例取材の途中で「ここまでの内容を確認、復唱させていただきます。おっしゃったことは、かくかくしかじかの内容でしょうか」というように、相手の言ったことをいったんまとめます。これは確認、復唱ではありますが、別の見方からいえば「軽く決めつける」ことにもなります。

 ほとんどの取材先は、この要約に対し、「そうですね」と答えるだけです。しかし場合によっては、「今の内容でだいたい合っているとは思いますが、実はそれだけではなく…」という形で追加情報を加えてくる場合があります。あるいは「いや、そうじゃなくて、」と相手が再度、自分の考えをいう場合もあります。

 ここで語られる情報には非常に高い価値があります。大きくは次の3点です。
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つづきはこちら → http://itpro.nikkeibp.co.jp/atclact/active/15/111100134/072000015/?mkt09

引張成形、クラウド、一発免許、トルコ語

****** 巨大アルミ板の引っ張り成型の事例

8メートル*2メートルにおよぶ大型のアルミ板を、引っ張り成形で製造するメーカーを取材しました。プレス成型は鯛焼きの原理で、2枚の金型で材料をガチーンと挟んでプレスしますが、引っ張り成形の場合は、一枚の金型に薄板を押しつけて下に引っ張って成形します。たとえは悪いですが、ストッキングを顔に押しつけてガーと後ろに引っ張ると、ストッキングが顔と同じ模様になるような、そういう成型方法です。8メートルクラスの引っ張り成形が行えるのは、日本でそのメーカーともう一社だけだそうです。

****** 某クラウドサービスただいまブレーク中の事例

某インフラ系クラウドサービスの事例製作に取り組んでいます。やってて感じるのは今後、この形式が主流になるんだろうなということ。たとえば仮想サーバなどは出始めのころは「全社サーバを仮想サーバに刷新!」というだけでニュースバリューがあり、プレスリリースにもなるほどでしたが、今はまったく目新しくありません。でも目新しくなくなったということは、つまり「どんな企業でもサーバは仮想化するのが当たり前になった」ということです。「全社導入!」がニュースになっているうちはまだ導入期。それがニュースにならなくなったら普及期というわけです。現在、続けて制作しているクラウドサービスはその意味では現在まだ導入期です。キャッチコピーでも「○○は●●サービスを全社導入!」というふうにもいえます。しかし近い将来、そのキャッチが使えなくなるとき、つまり「全社導入!」なんて高らかに宣言するのが何だかしっくりこない、恥ずかしいという時期が来たとき、それはそのサービスを導入するのが当たり前という普及期に入ったということになります。

****** 一発免許支援の事例

「自動車の一発免許支援」というサービスがあることを始めて知りました。免許更新をうっかり忘れると、最悪の場合、もう一度試験の受け直しになる。さりとてもう一度、自動車教習所に通い直すのもばかばかしい。「試験に受かるための運転」は忘れたけれど、そこはチョコチョコっとおさらいして、何とか試験に一発合格できないか、、、というときに、その「チョコチョコっと教える」ということをやるサービスです。世の中いろいろな仕事があるものだというかんじですが、その一発免許支援の会社から事例制作依頼が来て取り組んだ次第です。

***** 日本人にとって不思議な味わいの言語、「トルコ語」

最近、トルコ語を少しやりました。トルコ語は文法が日本語にそっくり、ただし単語にはいっさい共通点がないという言語です。日本語と文法が同じと言えばハングルもそうですが、あれは単語も日本語と似たものとか類推が効くものが多くあります。チハチョル(地下鉄)とか、アンニョン(安寧)ハシムニカとか。しかしトルコ語にそういう共通性はいっさいありません。しかし文法は日本語と同じなのです。

「昨日・来た・客は・今日・神戸で・泊まって・明日・姫路へ・行く予定だ」という文はトルコ語で、「昨日(Du:n)・来た(gelen)・客は(misafir)・今日(bugu:n)・神戸で(Kobe’de)・泊まって(kalip)・明日(Yarin)・姫路へ(Himejiye)・行く予定だ(gidecek)」となります。語順も、単語対応も全く同じです。

デュン・ゲレン・ミサフィル・ブギュン・コベデ・カルプとほとんど呪文か宇宙語としか思えないような言葉を唱えれば、それは「昨日・来た・客は・今日・神戸で・泊まって…」という意味であるというわけです。単語という具体はまったく違うのに、文法という抽象だけは同一、、、日本人にはなかなか不思議な言語体験です。

3ヶ月ぶり更新

気がつけば3ヶ月ぶりの更新となってしまいました。この間、怠けていたわけでなく、実は隔週更新の日経BPの連載の方を書いていました。しかし、このままでは自社ブログの更新の方ができません。

しばらくは本格ノウハウは、日経の連載の方に書き、こちらブログはライトな近況報告の場として活用してみようかと思います。

それにしても更新というのは続ければそれが惰性で続くし、中断すればやなりそれが惰性で続きます。慣れというのはだいじだと改めて思いました。

事例制作についての「間違った悩み方」

1年ほど前のことですが、ある既存顧客から「顧客事例に興味はあるが、ウチの業界は地味で特殊なので、どんな事例にしたらインパクトがあるのか、とても悩んでいます」という相談がありました。

これに対しては「悩み方が間違っています」と回答しました。

この顧客の悩みは、「想いを寄せているあの娘に振り向いてほしいのだが、どんなプレゼントをすればサプライズになるのか、とても悩んでいます」という質問に似ています。

この悩みを聞けば、誰でも普通に思うのは、「何がサプライズになるかは人それぞれだから、まず彼女の好みを知る必要があるんじゃないかな」ということです。

次に誰もが内心思うのが「サプライズプレゼント、本当に有効か?」ということです。有効かもしれないし、空振りかもしれない、その時のその人の状況、彼女との関係性次第です。

つまりこの悩みを解決し、彼女に振り向いてもらうには、自分の思いより「彼女の研究」の方が先に必要だということになります(思いつめるとなかなか難しいことですが)。

同様に、顧客に振り向いてもらうには、自企業の言いたいことや、コンテンツのインパクトなどより先に、まず「ゼロベースからの顧客の研究」が必要になります。

村中が事例制作の前に、必ず2時間の打ち合わせ、顧客プロファイリング http://www.customerwise.jp/profile.asp を行いますが、これは「顧客の研究」に他なりません。これを行わずに「インパクトを出すには?」とか「有効な事例とは?」とかうんうん悩んでも答は何もでません。

顧客プロファイリングを行えば、少なくとも「確固たる仮説」は必ず構築できます。この仮説を元に実際の取材を行い、事例コンテンツを作成し、取材先の反応を見ながら、仮説を検証していくわけです。

Q: 事例を動画化するのってアリなんでしょうか。

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Q: 事例を動画化するのってアリなんでしょうか。
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BtoBの動画事例は、次の点に気をつければアリだと思います。

1.【長さは目標1分以内】

テレビコマーシャルの長さは一般に15秒です。30秒~1分のCMですと視聴者としても相当に長く感じます。この長さの壁を乗り越えるために、CM制作者は様々な工夫をしています。

一方、事例動画ですが、最近は5分~8分の長尺ものが多いのですが、内容は会社の社屋が冒頭に映って、それから担当者が導入前の課題や評価を訥々と喋って…というものが多く、個人的にはとても5分も見続けられません。退屈で。

筆者も現在、事例動画制作の制作で試行錯誤していますが、基本的には「本編1分以内、理想は30秒」ということを動画長さの目標としています。


2.【動画で全部を語ろうとしない】

個人が何かを買うBtoC購買は、「自分が自分のお金で自分のために何かを買う行為」であり、購買プロセスの中で他人に対する説明は不要です。理屈はいらない、衝動買いOKです。

しかし法人が何かを買うBtoB購買は、「担当者が、会社のお金で、会社のために何かを買う行為」なので、購買プロセスの中で必ず他社への説明(例:稟議書)が必要になります。その説明は必ず論理的でなければいけません。衝動買いは不可能です。

さて動画ですが、そもそも動画という媒体は感覚重視であり、「理論的な何かをきっちり説明すること」には不向きです。したがって、動画では30秒程度でさわりを感覚的に述べて、それから文字の事例を読ませて、説明はそこで行うという流れが良いと考えます。

つまり、事例動画は、事例テキストの「予告編」です。

Q&A: 「事例の反応が悪い。デザイン、写真、キャッチコピーには十分手間をかけた。 でも、反響がない」

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事例の反応が悪い。デザインには凝った。写真はプロカメラマンを雇った。キャッチコピーもインパクトがある、でも、反響がない。なんでだろう。
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理由はおそらく、その「凝ったデザイン」「プロカメラマンの美麗写真」、「インパクトあるキャッチコピー」が、読者から見て「自分に関係ない」と思われたからでしょう。

人がは「自分に関係ある話」にのみ興味を持ちます。自分に関係ない話にはまったく興味がありません。

事例のような長い文章を読むのはめんどうくさいことです。いくら格好良いものであっても、「自分に関係のない話」だと思われたたら、反応してもらえません。

キャッチコピーで重要なことは、格好良いことやインパクトがあることより先に、まず読者(=見込み客)に、「この話は自分に関係がある」と思ってもらうことです。

写真やデザインの美麗さは、BtoB事例においては「読者の興味との接点作り」にはあまり関係がありません。「インパクト」というと聞こえが良いのですが、単に「びっくりさせること」に終わっていることが多々あります。インパクトとは「衝撃度」であり、「方向」の概念が言葉に含まれていませんが、重要なことは読者の関心事と事例の内容の方向を合わせることです。

これは言い換えれば事例を「マーケティングメッセージ文」ではなく「客商売文」の語法で書くということです。マーケティングメッセージ文とは「自分(企業)の言いたいことを自分の言いたい言い方で言うことで、目的を達成しようとする文章」のことで、一方、「客商売文」とは、「相手(顧客)が知りたいことを、相手が受け取りやすい形で説明することで、販促目的を達成使用する文章」のことです。

事例は販促行為なので、必ずこの「顧客視点」が必須になります。

 

 

Q&A: 「なかなか事例の協力先が見つからない。どうすればよいか」

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Q: 「なかなか事例の協力先が見つからない。どうすればよいか」

説明の仕方がわるいのか、それとも謝礼が少ないのか、、。
何が悪いのかもよくわからない。
さらに、営業部門はお客が嫌がりそうなので、事例発掘に協力してもらえない。——————————————————————–

事例出演の依頼で重要なことは、「顧客が出演したくなるような頼み方」をすることではなく、「まあ出てやってもいいか」と思ってもらえるような頼み方をすることです。

前者はプラスの訴求、つまり0からはじめて10、20、50、100とプラスを目指す発想ですが、後者はマイナスの削減、マイナス100からはじめて0点を目指すという地味な世界で、両者で考え方、取り組み内容は全く異なります。

大前提として、顧客には事例に出演することにメリットはありません。取材で時間を取られる、何かしゃべらないといけなくてめんどくさい、別に自社の売上げが上がるわけでもない、トクはありません。

次に営業部も、事例においては「総論賛成、各論反対」になるのが普通です。表面では「導入事例? それは素晴らしい、会社全体のためにやるべきだ」と言いますが、内心では「でも、お客のアポ取りとかめんどくさいことは他の誰かに頼んでね」と思っています。

このように事例出演のアポ取りはマイナス前提からのスタートになりますが、しかしだからといって不可能なわけではありません。

だって現実に多くの企業が導入事例を作っています。事例専門という弊社のような会社さえ成り立つほどです。

ウチの商品は特殊な分野だから、ウチの売り先は大企業だから、官公庁だから、事例アポ取りは難しい?

私の前職はセキュリティ系のIT企業でした。私はマーケティング部所属で事例制作をやりましょう、という言い出しっぺ役でした。それに対し社内からは「顧客に何のメリットがあるのか?」「セキュリティ製品のような特殊な製品で事例出演などしてもらえない」「官公庁が私企業の宣伝に協力することなどありえない」と反対論が噴出しました。

しかし結果として、村中は電話とメールだけで200社以上の事例出演OKをとりつけました。官公庁や大手都市銀行にも出演OKをもらえました。

なんといいますか、やりようはあるのです。

事例出演アポとりつけは、何か華麗なノウハウで効率的にゲットできるものではなく、徹底して「現実論」の世界です。そこでの工夫は、マイナスを0点にするための地味で細かい物ばかりです。

キーワードとしては「サンプルを見せろ」、「文書を使え」、「貸しを作れ」、「顧客とリレーションがある必要はない。面識さえ必要ない」などになります。

さて来る12月11日に、日経BP主宰で「事例マーケター養成講座」を開催します。
講座では、事例出演アポ取りのノウハウ、村中が200社アポゲットするのにやった方法について説明します。
(来場者には「事例出演依頼メールのひながた文」も進呈)

ご興味ある方は、こちら詳細をご覧ください。
http://coin.nikkeibp.co.jp/coin/itpro-s/seminar/itpa/151211/

Q&A: 「取材先(顧客)から事例の書き換え要望が多くて困る…」

今回は、趣向を変えて、Q&A形式でブログを書いてみたいと思います。

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Q:「お客様(取材先)の要望をどこまで反映すべきかわからない」

自社の事例の協力してもらったのだが、事例リーフを作ってからの指摘がたくさん。相手先の紹介ばかりで、そもそも誰の事例なのかわからない状態に。大事なお客様なので意見も言いにくい。どうすればよいか。また、再発を防ぐにはどうすればよいか」
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A: このような事態が起きるのは、設計不足と趣旨説明不足が原因です。

大前提として、取材先(=既存顧客)から事例内容について書き換え要望があったとき、要望された企業側が、それを断ることは不可能です。だってお客様ですから。

したがって「言われたからどうしよう」という後追始末ではなく、「そもそもそういう要望が出ないよう仕向ける」という事前予防が必要になります。

これは事例制作に限らず営業全般に言えることですが、取材、商談の際には、顧客に選択権は与えつつ主導権はこちらが持たなければいけません。

事例取材のときの「主導権確保」とは何か。それは「話のテーマ設定」です。取材先(顧客)は何を答えるのも自由ですが、話のテーマ、枠組みはこちらが設定します。

この枠組みさえ確保しておけば、その中で顧客が何を話そうと、あるいは後でどんな修正要望を出してこようが問題はありません。枠組みは崩れませんから。

この枠組みを決めること、それが事例制作における「設計」です。

事例制作では、その出力形態は「文章」ですが、文章における設計、枠組みとは別名「構成」といいます。もっと簡単には「章立て」、つまり最初に何を書いて、次に何を書いて、その次に何を書いてという「書く順番」のことです。

実は文章で何かを伝えようとするとき、言い回しや単語選択など「表現」よりも、どんな順番で語るかという「構成」の方がずっと重要です。

極論すれば、構成さえ確保しておけば、表現は少々いじくられたってかまわないのです。

質問者は「顧客からいろいろ書き換え要望が来て困る」といっていますが、通常、その要望は「単語レベルでの変更、追加」「いいまわしの変更、追加」など、表現に関するものです。文章の構成を変えろと言ってくるような強者(つわもの)はまずいません。

というわけで、事例制作のときにはまず「設計」をしっかりやりましょう。

それでもなお書き換え要望を減らしたいのであれば、それにはインタビュー冒頭の趣旨説明を正しく行うことをおすすめします。趣旨説明とは、今日はどういう場で取材先であるあなたにはどういう発言を求めているのかを、下手に出つつも明確に伝える場です。

この説明をしっかり行えば、質問者が言うような「相手先の紹介ばかりで、そもそも誰の事例なのかわからない状態」は生じません。

さて、来る12月11日、日経BP主宰で「事例マーケター養成講座」を行います。セミナーでは「設計」「趣旨説明」のノウハウを伝授いたします。興味のある方は、まずはこちらの案内をごらんください。

http://coin.nikkeibp.co.jp/coin/itpro-s/seminar/itpa/151211/

最後に役立つ小技ノウハウをお知らせします。

取材先に事例原稿のチェックを依頼するときは、WORDではなくPDFで提出しましょう。WORDで出すと自由自在に書き換えられてしまいます。しかしPDFならば箇所ごとの書き換え依頼をメールに記すか、あるいはPDFを印刷して手書きで要望を書くか、いずれにせよWORDよりも面倒くさいので、書き換え要望が少なくなることが期待できます。

今日の小技ノウハウ:「事例原稿はWORDではなくPDFで提出しましょう」

事例質問術 ~ 軽く決めつける

先般、「取材先から情報を引き出すには、軽い圧のある質問が有効」というエントリを書きました。今回はその質問法のバリエーションのひとつ、「軽く決めつける」という手法を紹介いたします。

 「そんなの決めつけだ」「勝手に決めつけないでください」とは強い不快を表す言葉です。人は他人に決めつけられることを非常に嫌い、それをされると反発します。

「軽く決めつける」という質問法はこの反発心を逆利用するもので、具体的には事例取材の途中で「ここまでおっしゃったことは、もしやかくかくしかじかの内容でしょうか」のように、相手の言うことをまとめる、復唱すると見せかけて、軽く決めつけてしまうというものです。

 すると、相手は仮にこの要約が正しいとしても、「決めつけられている」というそのこと自体に内心で反発するので、「今おっしゃったことでだいたい合っているとは思いますが、実はそれだけじゃなくて…」のような形で追加情報を自ら語ってくれるのです。

 この手法では、相手の言うことを必ず論理的に的確に要約することが重要です。もしここで的外れなまとめをしようものなら、「こいつ、わかってねー」「あんたこっちの話ちゃんと聞いてたの?」と非常なる反発を買います。

「軽く」であっても決めつけは決めつけ、よっぽど上手くやる必要があります。取り扱い要注意の質問術といえます。

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 ある著名な経営コンサルタントいわく、社長の気分を害さないように、しかし会社の問題点を的確に引き出すためには、「社長、ここまで調子がいいと、もう何にも問題ないですね!」と質問するのがよいそうです。こう聞けば相手の社長は「いやいや、それがね」と自社の問題点を自ら語り出してくれるわけです。これもまた「軽く決めつける」質問法の変形バージョンといえます。

 この質問のキモは後半の「何にも問題ないですね!」ではなく、前半の「ここまで調子が良いと」の部分だと村中は考えます。この前ふりは、質問者であるコンサルタントがよほど会社の数字を良く読み解き、状況を理解し、こいつ分かってるなと社長に信頼されないかぎり発することができません。その下準備なしに、「もう何も問題ないですね!」と浮ついた問いかけをしても、情報を引き出すことはできません。軽く決めつけるには、必ずその決めつけが「ある程度当たっている」必要があるのです。

 今日の結論、「相手から情報を引き出すには、軽い決めつけが有効(危ないけど)」