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「ネガティブでなければ打ち合わせではない」

事例制作の依頼を受けたとき、取材の前に、まず顧客と「打ち合わせ」をやります。

このとき、わたしは必ず「今日の打ち合わせはネガティブな姿勢で進めます」と前置きするようにしています。

すると顧客からは「え、ネガティブな姿勢? 何それ?」という雰囲気の反応が返ります。

 

■ ネガティブな姿勢とはどういうことか?

そこで私は、

「ネガティブな姿勢というのは、

『今回の取材、インタビューしても取材先はあまり面白いことはあまり言わないだろう』、

『こちらが企業メッセージとか書いたところで、読者(見込み客)は特に関心も持たないだろう』、

『こっちに都合のいいことはそうそう起きないだろう』

などなど仮定する、そんな姿勢のことです」と説明します。

 

■ もしポジティブに打ち合わせをすると…

なぜ打ち合わせはネガティブな姿勢でおこなうべきなのでしょうか?それを理解するために、逆の「ポジティブな姿勢で行う打ち合わせ」を想定してみましょう。

ここでのポジティブな姿勢とは、

「我が社は素晴らしい製品、サービスを提供している」

「我が社のお客様は良い事業を営む素晴らしい企業様である」

「お客様は我が社のサービスに満足しており、関係も良好だ」

「だから事例取材の時も、礼儀正しく素直に質問すれば、お客様は自分の言葉で良い内容を語ってくれる」

「私たちは、それにただ耳を傾ければよいのだ」

という姿勢のことです。

これはポジティブ、積極的、そして美しい前提です。本当にこの前提のとおり話が進むなら、それはすばらしいことです。

 

■ ポジティブな姿勢はなぜ無意味なのか?

しかし、ここで立ち止まって考えるべきことがあります。

それは、もしこれらポジティブな前提がすべて本当なら、そもそも【打ち合わせなどする必要はない】ということです。

すべてポジティブに進行するなら、準備など不要です。取材先に出向いて、事前に用意した質問を素直に聞けばよい。きっとすばらしい回答が返ってくるでしょう。

すべてはポジティブ、何の心配もありません。だから打ち合わせなどする必要はありません。

さらに根本的に考えると、すべてポジティブに進行するなら、そもそも外部の専門企業に事例制作を依頼する必要すらありません。

だってすなおに質問しさえすれば、よい答が帰ってくるのです。だったら、自社の新人に担当させても十分です。

 

■ 現実的とは、悪天候を想定すること


「ポジティブな姿勢で事例の打ち合わせをすること」は、「ポジティブな姿勢で登山計画を立てること」に似ています。

登山する日は、きっと天気もいいはず、視界もいいはず、トラブルなんて起きるはずがな、そんな姿勢です。

しかし、そんな姿勢で登山する専門家など当然いません。悪天候、事故などあらゆるネガティブ要因を予測し、それへの準備を想定してから実際の登山をしているはずです。

事例の事前打ち合わせも同様の姿勢をとるべきというのが私の基本的考えです。ひたすらネガティブに考えます(もちろん、そのネガティブな姿勢は、ポジティブな成果物をめざしてのことですが)。


事例の打ち合わせも同じようにやるべきではないか。ひたすら、ビクビクし、悪いことを考え、ネガティブにやるべきではないか。それが私の基本的な考え方です。

 

■ 天気がよいときは、素直によろこべばよい。

もちろん、このネガティブな姿勢は、ポジティブな成果物をめざしてのことです。登山家のネガティブな姿勢が、登頂というポジティブな結果を目指しているのと同じことです。

このネガティブな予想は、もちろん外れることもあります。取材当日、たいした質問もしていないのに、相手がつぎつぎ面白い話をどんどんしてくれること、こういうことは、たまにあります。

しかしこれは、登山当日、うれしいことに快晴でした!という話と同じです。この場合は「ああ、よかった」と受け入れて話を聞けばよいだけです。

運がよい時は、単にそれを受け入れればよい。しかし、それはあくまで「運がいい」ということです。事前の打ち合わせ、予測は、やはりネガティブに行うべき、これが私の基本的な考え方です。