出版か、事例か

コンサルタントが「自分が本物である」ことを示すために、「本を昔く」ことがよくあります。一流コンサルタントが専門分野について優れた知見を著せば、読者(見込み客)が「この人はスゴイ、本物だ」と認知してくれるわけです。
本の出版は社会的信用の向上につながります。玉石混済になりがちなコンサルタント業の中で、自分が似非ではない本物のコンサルタントだと示すために出版は有効です。
本が書けるということは、そのコンサルタントが自分の付加価値を自分で説明できることを意味します。ソリューション商材の販売では、誰が見ても明白な「価値」だけでなく、意識的に伝えない限り決して理解されない「付加価値」を自力で見込み客に伝達できなければいけません。本が書けるコンサルタントはひとまずその条件をクリアしています。(つづく→)

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反対意見はいつも正しい(理論的には)

会議室の中で出てきたこれら悲観論に、当時の筆者は反論できませんでした。実はそれから15年たち事例制作者として1000本以上の経験を積んだ今でも反論できません。「できない理由」というのは、理屈の上ではたいてい正しく、それに反論するのは非常に難しいことです。

当時の筆者は「とにかくやってみる」ことを選びました。難しいことをいわず、実際の事例出演依頼を始めたわけです。最初は小さい企業からOKをもらい、徐々に企業規模を大きくしました。そのうち自治体にも出演OKをもらえるようになりました。最後は日本有数の大手都市銀行からも自力で事例出演を獲得できました。
社内からは「顧客が事例に出演してもらえるはずがない。なぜなら~」という悲観論が出ましたが、楽観的に実行すると意外にうまくいきます。この食い違いは何なのでしょうか。

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総論ポジティブ、各論ネガティブ

筆者は事例制作会社を起業する前、セキュリティ企業のマーケティング部に勤務していました。メールや電話を使って自分で出演依頼をして、中小から大手企業、自治体までかれこれ200本の事例を作りました。
筆者が事例制作に本格着手する前、社内には事例がほとんどありませんでした。各部門からは「営業成績を上げるために事例の数を増やさなければならない」と声が上がっていました。そこで「じゃあ、私ががんばって作ります」と手を上げたわけですが、すると社内からは「それは無理なんじゃないかな」とばかりに次のような悲観的な意見が上がってきました。

「事例に出ても顧客には何のメリットもない。だから出ない」
「自治体が私企業の広告宣伝に協力するはずがない」
「そもそも我々が販売しているのはセキュリティ製品だ。そのようなデリケートな分野で顧客が使っている製品を公開するはずがない」

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「ウチの業界は特殊だから」では何も進まない

企業向けに事例制作のセミナーをするとき、受講者から決まって受ける質問があります。
「弊社の顧客の大半は〇〇業界で、その業界では独特の考え方があり、弊社の製品も特殊な使われ方をしています。だから事例出演の依頼をしてもたいてい断られます。どうすればよいですか」

これはつまり、「ウチの業界は特殊なんだ。だからあなたが言っている一般論のノウハウは通用しない。別の方法を教えてくれ」ということです。この質問は、20代の若手担当者がすがるような目で質問してくることもあれば、年配の男性が「おまえにウチの業界の何がわかるんだ」と攻撃的な目つきと口調で聞いてくることもあります。
この質問に筆者はいつも「いい人がたまにいるから大丈夫です」と答えています。これはその場しのぎの回答ではなく、経験に根ざした本心からの回答です。

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まず課題までさかのぼる

時系列で質問する場合、最初は「昔のこと」から話を始めます。ではどのぐらい昔までさかのぼればいいでしょうか。BtoB事例では、「顧客が課題を感じ始めた時期」にさかのぼって話を始めるのが適切です。BtoB商品は課題を解決するために導入するものだからです。

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