顧客プロファイリング技術(カスタマワイズの事例づくりのコア)

ここに二つのお客様事例があります(クリックで実物へジャンプ)。
実は、この二つの事例、反応率(ホームページ経由の問い合わせ数)が三倍以上も違いました。

(協力: 日本許認可センター)

左は、クライアントが自分で作ったもの。右は、村中が作成したものです。右の事例の方が三倍高い反応(問い合わせ数)を取れました。

皆様には、どちらの事例も特に大差ないように見えるかもしれません。しかし「購入を真剣に考えている見込み客」の視点から見た場合、大差があるのです。

右の事例には、ある特定の見込み客層が、反応せざるをえない仕掛けが写真、キャッチコピー、本文のすべてに埋め込まれています。

それは、文章が読みやすい、写真がよいというだけの話ではありません(実は、私の事例の方は、取材先から正面写真の撮影を拒否されたので、苦し紛れに横から写真を撮りました)

この反応率の秘密は「顧客プロファイリング技術」です。それは、「読者(見込み客)の像を正確に描いて、それを自分の背中にしょって、見込み客の立場でインタビューする」ための技術です。

この顧客プロファイリングが事前に精密にできていれば、インタビューの時には、ある種「見込み客のイタコ」になったかのようになります。そうして読者(見込み客)の立場に立って質問でき、原稿も見込み客の立場になって書けます。だから、自動的に見込み客の反応がとれる原稿がつくれるのです。

このプロファイリングは、取材に行く前のクライアントとの打ち合わせの際に行います。そこで、私はクライアントにひたすら質問をし、予測に予測を重ね、自分の仮説を述べ、取材先の像を、精密に、立体的に、目鼻が見えるように作り上げていきます。

ある時、わたしは、その打ち合わせにライターを同行させ、横で私の打ち合わせを観察してもらい、私が何をしているのかを抽出してまとめてもらいました。

1.準備
  ・ クライアント調査、商品調査、競合調査
  ・ 回答の予測、理想ストーリーの予測、理想証言の予測、理想写真の予測

2.訪問
  ・ 訪問準備、マインドセッティング、移動

3.導入
  ・ 挨拶、位置づけ確認、主導権の確立
  ・ 曖昧の排除、不快の可能性の予告

4.ヒアリング(スキル)
  ・ 無知の詫び、回答範囲の設定
  ・ 質問事項の一言表現、具体表現、意図説明
  ・ 予想の予告、仮説の提示
  ・ 仮説の当否確認、的中度の判定
  ・ 用語確認、一般用語か業界用語か、別の言いかえ
  ・ 分類提示、数値による確認
  ・ 最多レンジ、過去最大、過去最少の確認
  ・ 具体例の確認、排除の有無を確認
  ・ 二分法表現、偏り確認、概括
  ・ 五感描写、登場人物の行動ロジック、直接話法による表現
  ・ 納得度の伝達
  ・ 共通認識の確認

5.ヒアリング(項目)
  ・ 商品の一言表現
  ・ 4つのWを確認
  ・ 法人の場合。業種、規模、エリア、全社導入 or 部門導入、言い出しっぺの確認、
  ・ 個人の場合。年齢、性別、エリア、感性、思考、こだわり、年収の確認
  ・ 意外な買い手の確認
  ・ 買い手の動機の確認。どんな場面で買いたくなるか。
  ・ 御利益の確認。必然購買か、欲求購買か。
  ・ 個人:五感のどれに訴えるかの確認
  ・ 法人:売上げ増、コスト減、リスク減のどれに貢献するか。
  ・ 一生に一度購買か、リピート購買か
  ・ 保守はあるか
  ・ 財政権者と決定権者は同一人物か
  ・ 自発購買か、強制購買か
  ・ 自動購買か、他動購買か
  ・ 部材購買か、単体購買か
  ・ 予算、価格、単位、単価、発注数、受注額の確認
  ・ 顧客の購買動線の確認
  ・ 行動、相談相手、解決策調査方法、不安要因の確認
  ・ 見える競合と見えない競合の確認
  ・ 競合に勝ってるところ3つ
  ・ 営業上の課題、これから誰に売りたいか
  ・ 事例の使用方法の確認
  ・ 「理想のストーリー」の確認
  ・ 刷り込み効果、ハードル下げ効果の確認
  ・ ストーリー化
  ・ 現実性、五感、感情、思考、行動による描写
  ・ ストーリーの妥当性チェック
  ・ 理想顧客の描写。クチコミ情景再現
  ・ 読者(見込み客)の理想の入り口と理想の出口の描写

6.提案
  ・ 理想の入り口と出口についての合意形成
  ・ 理想証言の描写
  ・ 理想証言を引き出す質問の具体化
  ・ 理想写真の具体化
  ・ キャッチフレーズ作成


これらの項目を、その時の商材、その時のクライアントの現状(「今、だれにどのぐらい売れているか」)、そしてクライアントの将来の希望(「これから、だれにどのぐらい売りたいか」)などに合わせて、柔軟に組み直し、ディスカッションし、その上で、「顧客プロファイル」を完成させます。

冒頭にお見せした二つの事例の違いは、究極のところ「顧客プロファイリング」を念入りに行っているか、いないかの違いです。事例づくりは、準備九割。事前のプロファイリングがすべてを決めます。

カスタマワイズ(村中)のコア技術は、インタビュー力でも写真力でも文章力でも文章力でもなく、この顧客プロファイリング力です。